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【Report】ホームページのユニバーサルデザインに関するセミナー

2007.03.06 [ Report ]

2月20日に開催されたセミナーのレポートです。


■第一部:だれもが学べる教育環境の創造

○「e-Learningが築く新たな教育の可能性」
独立行政法人メディア教育開発センター理事長 清水康敬氏

NIME(*1)にとって、ユニバーサルデザインとは、誰もが柔軟に使え、簡単且つ分かり易く、間違えても安全であることを掲げ、視覚障害者、高齢者、子ども、外国人に配慮しつつ、健常者も利用できるコンテンツ作りであると考えている。コンテンツを読み手に認識させる際は、言葉だけでで伝えた場合、約9割が1日で忘れてしまうが、図表と連携させることで7割が5日経過した際も覚えていたという調査事例を紹介。但しこれは「分かりやすく表現する」という意識の度合いで認識効果は大きく異なってくる。
NICER(*2)のe-Learning活動事例を紹介。ここでは小学生が各学年別の検索作業において、学んでいない漢字だけに自動的にルビが振られる機能や、学習した分野の情報量の違いで検索結果の情報量を制限する等、ユーザーの年齢層に最適化させる取組みを披露。

(*1)NIME 独立行政法人 メディア教育開発センター
http://www.nime.ac.jp/

(*2)教育情報ナショナルセンター NICER
http://www.nicer.go.jp/

○「信州大学におけるWeb教材のユニバーサル
デザイン化への取り組みとその成果」 
信州大学工学部助教授 宮尾秀俊氏

e-Learningの教材をユニバーサルデザイン化するために、独自のガイドライン策定の必要性から、数式やプログラムの音読方法など、問題点をピックアップし、いかにして音読リーダーが正しく且つ障害者に対して正しく機能させてゆくか、その実践内容を紹介。

現代GPユニバーサルデザイン化の取り組み。
http://schubert.cs.shinshu-u.ac.jp/~miyao/UD/

■第二部 ユニバーサルデザイン化の事例紹介

○「信州大学ホームページの改善事例」
株式会社ユーディット 主任研究員 濱田英雄氏

W3Cの紹介と、ユニバーサルデザインやアクセシビリティの重要性について、アメリカでは「リハビリテーション法508条」などに纏わる事件を紹介。信州大学サイトは2006年11月に調査開始、まず15ページほどの主要ページの検証し、3段階のレベルで修正優先度をつけ修正作業を行った。主要な変更点は、文字サイズを自由に変更できること、読みやすい配色の徹底に始まり、音声ブラウザに対応させる為の処理など。実際にIBMのホームページリーダーを使い、どのように読み上げてゆくのかをデモ。バージョンの違いなどでも変化があることを披露した。

インフォアクシアによる米国のリハビリテーション法508条
第1194部22条の日本語訳
http://www.infoaxia.com/resources/translations/508/

IBMホームページリーダー
http://www-06.ibm.com/jp/accessibility/solution_offerings/hpr/


○「長野市公式ホームページにおけるアクセシビリティ向上への取り組み」
 長野市企画政策部広報広聴課 丸山義久氏

長野市のサイトは2006年10月リニューアル。それ以前の問題として、各課ごとの更新担当者のスキル格差が大きく、各々が独自のやり方で更新していたことや、市民は各課が何をしている所か分からないにも関わらず、市民課ページに入らないと住民票発行手続きに関することが読めなかったりと、ユニバーサルデザインからは程遠い状態だったことを紹介。改善措置一弾として、ガイドライン作りを進め、ページ編集における約束事を決めた。効果はあったが、各担当者の使っているツールの違いで作業が統一できず、改善措置第二段として、CMSの導入を計画、あわせてアクセシビリティに関する職員への研修を実施し、音声読み上げソフトでのデモを体験し、担当者の情報発信おける意識作りを図った。第三弾として情報の見せ方を従来の課、支所別カテゴリから、目的別や出来事別カテゴリを儲け、複数の入り口設けることで目的の情報に到達しやすくした。PDF等は、5P以下のものはなるべくHTML化を提唱し、大量ページの場合は、なるべく細かくファイルを分割し読みやすいページ作りを実践。最近では全てのページにフィードバックを儲けユーザーの投稿頻度が向上した。今後は、アクセシビリティとビジュアル(デザイン)が両立できるよう、そのための操作マニュアルの整備、スキル向上、管理者への意識改革をおこなってゆく。

長野市
http://www.city.nagano.nagano.jp/


○「富士通の実践事例~企業価値を向上するユニバーサルデザイン」
富士通株式会社 コーポレートブランド室担当部長 高橋宏祐氏

富士通は、2000年にWEBブランド構築(約20万ページのサイトデザインの統一)、2002年にアクセシビリティ、ユーザビリティによるサイトの使いやすさを実践、2005年ネット技術に変化に対応したページ作り(SEO)という3つのスキームを通した経験から、サイト改善の趣旨をシンプル且つ明確にする事、その仕組作りとコスト(人、物、金をマネジメント)と達成基準を具体的に持つこと等の重要性を紹介。現在も日経パソコン企業サイトユーザビリティランキング連続首位をキープし、ユニバーサルデザインにおける信頼性、企業価値の高いレベルを維持している。WEBにおけるこれらの取組みは今や、経営資源であり、単なる広報を超えた企業としてのプロジェクトとなっている。これからもユニバーサルデザイン、ユーザビリティの牽引企業として活動してゆくと共に、本日のセミナー参加者には是非、かしこい消費者になっていただき、使い勝手の悪い官公庁や企業のサイトに対して意見要望を出していただきたい。企業は外側の圧力で変わってゆくものだから。


■第三部 パネルディスカッション
「ユニバーサルデザイン」

<パネリスト>
清水康敬氏 独立行政法人メディア教育開発センター理事長
髙村明良氏 筑波大学付属盲学校教諭
長崎勤氏  長野県長野盲学校教諭
濱田英雄氏 株式会社ユーディット主任研究員
丸山義久氏 長野市企画政策部広報広聴課
高橋宏祐氏 富士通株式会社 コーポレートブランド室担当部長
<コーディネータ>
不破 泰氏   信州大学大学院教授


髙村先生のお話から。音読リーダーで正しく読まれることだけに注意が偏らないこと。聞いている途中で読み直せるか。現在何を聞いているのか前後関係がはっきりしているか。今聞いている内容がそれまで聞いていた情報と何が違うのかを確認できることなど、サイト全体の構造化についてもっと強く意識する必要がある。サイト全体をどのように展開させるか、言葉を上手に使ってイメージさせてゆくこと(言葉の使い方は非常に重要)。誰もがわかりやすいページ作りには限界がある。誰もが知りたい情報に到達できるようにすることが重要である。

全盲者のネット利用の現状を見たとき、子ども達の多くは使っているというよりも反応しているだけの場合が多い。高校や大学になって能動的に情報を探そうとする気持ちになって初めて、検索して目的のサイトを目指すWEB本来の使い方になる。

長崎先生のお話から。ネット上には今も多くのバリアが存在する。全盲者は、PCの操作に慣れて、そして目的のサイトが何処にあるのか見つけるまで、途方もない時間と労力を使う。必要な情報が何処にあるのか分からない。そうした中で、テキスト版を用意しているサイトは嬉しい。近年セキュリティの重要性が高いが、あの認証機能によって敷居が高くなってしまった感がある。この辺はセキュア故の弊害ともいえる。


2007.2.21

執筆者:カサイユウイチ

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