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Interview

定期的に更新するインタビューのページです。Webクリエイターだけでなく、
さまざまなジャンルの方々のインタビューを掲載していく予定です。


03 伊藤昌輝

2005.11.05 [ Director ]

伊藤昌輝

東筑摩郡波田町でフリーランスのWeb企画・デザイン・サポート業を営む創作屋彩代表、伊藤昌輝氏。愛知県から安曇野そして、東筑摩へiターンして5年(2005年現在)。NPOや公益活動といった分野にデザイナーとして携わる訳を聞いてみました。

インタビュアー/遠藤由香(NPO関係者) 写真/信州スローデザイン研究所

─簡単にプロフィールをお願いします

1999年初冬、安曇野へやってきました。それまでは愛知県でDTPエンジニアを経て出版の仕事をやっていたので、いわゆるiターン組です。Designや企画は印刷会社で基礎を勉強させてもらい、出版で企画を中心に行いながら誌面作りを手がけてきました。ずっと印刷、出版畑にいたかというとそうでもなく、一時期ラジコン専門店の販売員も経験したことがあります。そこで商品仕入れやお客さんとのコミュニケーション、現場で必要な販促品などの経験はさせてもらいました。今考えると、とても貴重な経験でしたね。ちなみに、ラジコン用のタイヤは仕入れが任されていたので、結構売りましたよ(笑)。もう、種類がハンパじゃない。その中から毎日の売れ筋とサーキット毎の特徴を研究しながらお客さんに薦めていくわけですけど、そうしたノウハウは今のWeb企画に結びついています。

─そうした経緯を持っていながら、いつからWebに携わり始めたのですか?

実は、高校時代からです。そのころ、インターネットという概念はまだ無く、パケット通信と呼ばれてた頃です。アマチュア無線を使ってチャットをするなんてことが最初でしょうか。その後、パソコン通信が普及して、掲示板というものが流行りましたね。このころからインターネットというものを意識し始めました。サイトを制作していろいろ実験し始めたのは1995年頃。Windows95が発売されたり、MacintoshがOS7になったり。DTPもこのころQuarkやIllustratorからの製版出力が盛んになった頃、Quarkのデータを活用してWebサイトができないか実験していたことを思い出します。印刷業界がWebに対して明るい未来を抱いていた頃です(微笑)。その後、1997年頃にラジコン専門店の販売員をやっていたんですが、ここでの情報収集にWebは大きな力を発揮しましたね。全国のサーキットをまわるわけにはいきませんから。タイヤの情報やセッティング情報なんか情報交換していました。ある意味、今のSNSの走りかもしれません(笑)。

─売り場経験が伊藤さんのデザインやWeb制作に大きく影響しているのですね。

そうですね。「広告」って売り場で商品がどのくらい売れるのか左右する「道具」だということを現場で体験しましたから、どんなに広告の体裁だけ整えても、結局商品が悪ければ売れないし、逆に、商品の使い方をうまくプレゼンテーションできていないものは良いものでも売れませんでした。バランスが大切なんでしょうが、そのバランスがうまくとれている商品は何も説明しなくても売れていきましたね。そうした部分がベースにあって、デザインや企画に活かすように心がけています。だから、僕の作るものは泥臭いんですよ(笑)。でも、商売って「もの」を売るわけではなくてお客さんに「情報」と「満足」を売るわけですから、販売する人にそれらのサポートができる道具として意識したら、泥臭くなりますよ。イメージを重視の大資本を投下させる広告プロジェクトなら別ですが。それでも個別の販促グッズは結構泥臭いですよ。あまり大々的にどことは言えませんが(笑)。結局、大手小売店でも最後は人と人なんですよ。先輩から現場を知ることは大切だと教えられてきましたので、販売の現場まで行っちゃっただけですね(爆)。

─私たちNPOにとってみても「広告(広報)」って悩みの種です。伊藤さんはNPOにも関わりを持ってくれていますが、儲からないのでは?

正直言って儲かりません(笑)。食っていくだけで精一杯です。関係者一同みんなそうでしょ(笑)。でも、やりがいはある分野ですよね。今まである広告理論を使いながら、儲けではない、別のレスポンスを求めていくことって、これから重要なファクターになると考えています。でも、最終的には自分のゲインが広がると感じていますので、良い経験をしていると思いますね。それに、売り場で得た経験と出版で得た経験と重なります。みんな泥臭いところで活き活きしてますからね(笑)。

─お金の話は別にして、今一番取り組んでいることは何ですか?

Webの標準化と泥臭いデザインの普及(笑)。Web標準化はやらなきゃいけない大きな課題ですよね。泥臭いデザインは賛同してくれる人だけで良いです(笑)。それよりも、街中の広告看板に対しても疑問を感じています。公共空間の過大な私的利用じゃないかと。今の街の色やカタチって、建物の色やカタチが見えませんよ。看板の方が大きい。目だっちゃってると言った方が良いでしょうか。僕は街並みの美観とWeb技術ってのは連携できると思うんです。auの位置情報サービスなどはその走りだと思いますし、ブログの口コミと連携すれば、看板はもっと小さくても良いのではないかと思います。そうした動きと連携して、バス停・電停を活用した有機デバイスディスプレイを使った広告など、新しい広告手段も考えられます。問題は地方でやったときの対投資効果でしょうね。また、地方ではクルマという究極のプライベートモビリティが普及してしてしまっているので、公共交通網は減衰傾向ですが、その中で多くの人が一度に同じ時間を共有できることは、広告にとって大きなメリットだと思いますし、待ち時間は情報をインプットする有効な時間だという考え方もできます。そうした観点から、中心市街地のクルマの使い方を考えるヨーロッパカーフリーデーの日本導入にも繋がると思い、取り組んでいます。欧州では広告面積や使う色の制限がなされている街もあります。また、公共交通を復活させることで、情報共有する場面を多くし、新しいビジネスも生まれているようですし、市街地の活性化も進んでいます。公共利益→私利益に繋がるという考え方はかつての近江商人に近いのではないかと思っています。ですから、NPOはとてもその考え方に近い存在だと思います。ただ、そのNPOの広報に疑問もあります。それはあまりに「紙」が多すぎること。読んでしまったら基本的にはリサイクルですよ。そのまま再生紙になればいいのですが、その行方は実際分からない。中国へ輸出されているとも聞きます。全てをWebにすればよい訳ではなく、何を紙媒体を利用して、何をWebにするか。Webにしたとき、全ての人に読んでもらうにはどうすればいいか。そこがWeb標準化と繋がると考えています。

─WebとNPO、繋がりがあるのですね。これから伊藤さんはどこへ向かおうと思っていますか?

まずは安心して生活できること(笑)。今の日本では年金問題や国債の問題、環境問題など様々な問題が山積みです。少なくとも、年金問題は一番の不安要素です。フリーランスデザイナーの方は結構不安なのではないでしょうか?自分が年金生活になる時に、インフレになっていたら今の政府が示している支給額ではきっと生活できませんからね。まして、その時にクルマが所有・維持できているのか、運転できるのかといった不安もあります。地方のグランドデザインは生活の物資調達を郊外に分散させようとしていますからね。クルマがないと生活できない環境はやはりちょっと不安です。そうした観点から、「もの」を所有せずに生活できるスタイルが確立できないかという次なる世界の未来像を「デザイン」できる事に何らかのカタチで携わっていたいです。その中で、自分の役割を見つけられることが大きな目標です。具体的なカタチはフリーランスなのか、会社法人なのか決めていません。その時のスタイルに合わせて行けばいいと思います。「Like flow of the time」ですね。ただ、そこには「デジタル技術」という骨が常についてまわっていると思いますが。

─Webデザインにできる事ってなんだと思いますか?

たくさんあると思います。まだ生まれて数年しかたっていないメディアですから、枠にとらわれないで、形を変えていくのだと思っています。ただ、基本はコミュニケーションのための道具だということを忘れないようにしたいです。メールしたり、掲示板で話し合ったりするのもコミュニケーションですが、人から人へ「伝える」ための手段はまだたくさんあると思います。それをどうやって組み立てていくかの基礎に、僕らが少しでも荷担できればいいかなと思っています。それに、今まで大資本を投下してきた企業に負けないくらい売り上げを上げる中小企業が出てきたことで、シンプルに、コンパクトにまとまっていけるビジネスが展開されるようになっていくのではないでしょうか。NPOはそうした仕組みの中の前衛的な組織だと思っていますし、エコエコノミーの一端を担う可能性を感じていますので、自分のできる範囲でこの世界にも関わっていこうと思っています。

─最後に。長野に何か期待しているものはありますか?

長野には日本中どこを捜しても見つからない山岳自然景観があります。これらを活かした、サスティナブルシティが実現できないかと思っています。お手本はスイスやフランスにあると思いますので、うまく日本に取り入れたエコライフができる都市デザインに何らかのカタチで携わりたいです。

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Profile

伊藤昌輝 [ Masateru Ito ]
url :創作屋彩

1971年三重県桑名市生まれ。名古屋育ち。現在波田町在住。工業高校ロボット工学科出身。映画専門学校を得て、印刷会社へ。DTPエンジニアとしてシステムの開発とワークフロー確立に携わる傍ら、デザイン室でカタログ・チラシのデザインワークを行う。ラジコン専門店販売員を経て、出版業界へ。フリーランスになった後、自然の豊富な信州へiターン。某大手メーカーの製品開発・販促の仕事をしながら、NPOという世界へ足をつっこみ、現在に至る。経営や経済に興味を持ち、勉強中。主に、現場の知識を活かしたWeb企画・デザイン・サポートの業務をこなしている。CMS-XOOPSを使ったサイト計画が得意。最近は3D-Shadeも使い、パースなどの制作で、地方自治体のグランドデザインにも携わっている。縁の下色が強いことが特徴。
カーフリーデーに携わりながらも、Old-MINIに乗り、妻はSmartに乗る。屋根にはSHARPの太陽光発電を載せるエコ一家(笑)。エコって何だ? が最近のテーマ。

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