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Interview

定期的に更新するインタビューのページです。Webクリエイターだけでなく、
さまざまなジャンルの方々のインタビューを掲載していく予定です。


20 長峯亘

2009.05.08 [ Writer ]

長峯亘

『走り出したくなるようなモノを作ろう』という信念のもと、さまざまな手法で“表現”を提供するクリエイティブチームjogga(ジョッガ)の代表を務める長峯亘氏。昨年、拠点を東京から長野市に移してもなお、全国区での活動を続けている長峯氏にお話を伺いました。

インタビュアー/坂田大輔 写真/ハラヒロシ 編集/志村純子

─さまざまな手法で“表現”を提供する…具体的にはどのようなことですか?

ライティング、映像企画・制作、ディレクション、Webプランニング等をjogga(ジョッガ)という屋号でやっています。スタッフが4人いて、それぞれ個人で活動するイラストレーター、コピーライター、ミュージシャン。僕がメインで、クリエイター兼営業みたいな感じです。 それらのジャンルでさまざまな表現を提供していますが、本当にまんべんなくやらせていただいていますね。アニメ、ラジオドラマ、コントなどの脚本を書かせてもらったり、コピーなどライティング全般、Webで流す映像の制作、キャンペーンサイトの提案などです。
クライアントは今はほとんど東京ですが、大阪や京都でもお仕事をさせていただきました。最近だと大きなところで、マクドナルドさんのお仕事もさせていただきました。

─joggaをスタートしたのは?

一年前ですね。

─前職を辞めるときにはjoggaの準備を整えていたんですか?

若い頃から「いずれ独立したいな」という思いがあって、なるべく就職したくなかったんです。結構フラフラしていて、バイトしたり派遣社員だったり。そんな生活を数年やっていました。番組のADをやったり、ゲーム会社でアシスタントやってみたり。いわゆるちょっとクリエイティブな仕事を、転々としていましたね。会社に入るよりは自分で勝手にやりたいなと思っていましたけど、現実はそうもいかないので、フラフラしてる自分を見かねた友達が「うちの会社受けてみたら?」と(笑)。それがスポーツ専門放送局でした。

─スポーツ専門放送局ではどんなことを?

番組編成や放送運行、番組企画などを担当していました。とはいえ「人が足りないからWebやってみない?」、「フリーペーパーが流行っているからやってみない?」といった、部署なんて関係ない、ごちゃごちゃな時代があって。会社という組織にいながらみんな独立して動いているという雰囲気がすごく楽しかったんです。Web、モバイル、フリーペーパー、番組ディレクター等、さまざまな経験をしましたね。でも数年前に合併など色々とあって、ちゃんとした人が増えてきた頃から、なんか普通の会社になっちゃったなぁって(笑)。

─独立に踏み切るきっかけは、何かありましたか?

タイミングがバチっと決まったんです。ずっとサラリーマンをやりながらいつ独立しようかと思っていたんですが、やっぱり日々の仕事があるじゃないですか。
部署の移動があってバタバタと忙しくなって、そのあと不意に2日間ほど何もやることのない日があったんです。奇跡的に。「あ、今だ!」と。友達がwebの制作プロダクションでバイトしていたので「誰でもいいから会わせてくれ」とお願いしました。そのときは特に何があったって訳ではなかったんですけど、翌月くらいに「そういえばライティングの仕事あるよ」と言われて。あぁ、やっぱりタイミングは今だなぁと思って、その直後に辞めました。

─joggaの仕事は、今までとは違う仕事になるわけですよね?

そうですね。フリーペーパーで文章を書いていたとはいえ、素人みたいなものですし。ただ、構成作家のバイトをしていたことがあったので、そのあたりの過去の履歴で営業をかけていました。
「こういうことできるの?」って言われたらとりあえず「できます」って全部言ってたんです。「何でもできます」って(笑)。

─独立後の、最初の仕事は?

とあるモデルさんの、インタビュー記事を書かせていただきました。インタビュー記事なんて書いたことなかったんですけど(笑)。
それっぽく書いたら「面白いね」という話がクライアントさんからあったようで、それからサイトのライティング全般をやってもらえませんか? という話になりました。良い意味での“はったりの重要性”を感じましたね(笑)。

─その頃には仕事においてjoggaの特徴的なものが出てきていたんですか?

たぶん、そうですね。プロダクションというつもりは全然なくて、「これってjoggaがやったんだね」と言われるような仕事を1年目から意識していましたね。クライアントさんによってはもっと普通に見せたいということもありましたが「そうであれば僕たちがやる必要はないですね」と強気のこととかを言っていて。
そういうのもやっていたらもっと(金銭的に)潤ってはいるんですよ、やっぱり。それでも「っぽいね」という、あんまり刺さる人はいないけれど刺さった人がぶっ倒れるくらいのことをやりたいねという話を常に映像ディレクターとしていて。
クライアントにとっては扱いにくいと思います。映像ディレクターは前職の同僚で一緒に番組を作ったりしていたんですけど、まぁウケなかった、正直。延々ハトの映像を流して、いつ飛ぶかという超能力番組のような、永遠と土鳩が映っているだけの番組を作ったりしてましたから…。でもそれが刺さるクライアントさんもやっぱりいるんですよね。

─クライアントにやりたいことを伝えるときはどんな感じですか?

しゃべっていて自分が笑っちゃう、みたいな(笑)。中身は後付けで、しゃべってクライアントさんを笑わせてる雰囲気ですね。内容は「追々」(笑)。

─作品のキーは”笑い”ですか?

がっつりお笑いみたいなことにはしていないです。「ふっ」みたいな、鈍痛にも似た笑い(笑)ですね。

─joggaっぽさを大切にしていますが、同時にクライアントからの要望に応じることは可能ですか?

きちんと対応したいなとはもちろん思いますが、ごちゃごちゃになってつまらないかなと思ったら僕の段階で止めてしまって、クライアントさんととことん話し合いますね。
最初は盛り上げて、そのあとでじっくり話し合っています。電話よりは直接会って。自由にやっているようで遠くにはちゃんと囲っている“サファリパーク状態”はずらさないようにしています。

─“表現”の提供は、ニーズと金額のバランスが難しいのでは?

仕事は言われた金額で、その中でできることをやります。担当者や商品が好きであれば、やらせてもらえればいいかなって。
“人が好き”というところを大事にしています。見た目が好きだとか、メシ食いに行きたいやつだとか、そういうのが僕の中で重要なところです。
マクドナルドは昔から大好きですが、例えばその担当さんが僕にとって面白いと思えない人だったら、マックの仕事もやっていなかったと思います。どんな人とするかというところが重要。クライアントさんにも爆笑してもらいたいんです。

─joggaらしさって、最初からあったものですか?

クライアントワークばかりになってしまって、チームでやっている意味があるのかと考える時期がありました。そのときに、みんなで映画を作ったんです。脚本、演出、イラスト、音楽、ナレーション全部チーム内で完結させて。映画祭に出品して4位という比較的良い評価をいただきました。
僕たちが一緒にやることって結局こういうことなんじゃないかと。クライアントワークを一生懸命やりながらも、表現もちゃんと一緒にやっていこうねと確認するきっかけになりましたね。

─メンバーはみなさん、仲が良いんですね。

普段は全然会っていないんですよ。メンバー同士まだ会ったことのないメンバーもいますし(笑)。 僕が、それぞれのメンバーを人として好きだったんです。たまたまイラストが描けたり、たまたま音楽をやっていたり。だったら一緒にやろうぜ、と。バンドやろうぜ!みたいなノリですよ。

─会ったこともない状態で、クオリティのバランスは?

奇跡なところがあって、何かをみて「これってうちっぽいよね」というメールのやり取りをたまにするんです。「ぽいよね」、「うん、ぽいぽい」みたいな。向いている方向は同じかなという感じがあります。そういったトーンは、僕は総合的に見てるんですけど、間違ってないなと。

─joggaのコンセプト“ウキヒャホーィ! 言いながら走り出したくなるような感覚”とは?

遠足に行くときとか、おじいちゃんに会いに行くときの子供の変なテンションというか、何か知らないけどすげー盛り上がるみたいな。何か知らないけどいい気分になったとか。そういうところを目指しています。

─長峯さんはどんなときに“ウキヒャホーィ!”と感じますか?

いろんな人に会ったときですね。何か面白いねって思えたときって、どんな小説を読んだときよりもどんな映画を見たときよりも面白くないですか? こんな人、いるんだ~って。

─人が好きなんですね。

そうですね。たとえばお付き合いしている代理店はスタッフが好きだったりとか、結局そこなんですよね。 いろんな人と会いたいと思っているんです。でも実はすごい人見知りなんですよ。34歳で人見知りなんてどうかと思いますけどね(笑)、あんまり得意ではないんです。

─去年長野に越してきたということですが、長野を拠点にした理由は?

家賃が安かったから(笑)。もちろんそれだけじゃないですけど。

─出身は松本市ですよね。長野市に決めた理由はありますか?

何度か下見に来たんですが、長野市で街を歩いている若者が、とんでもない組み合わせの服を着ているんだけれど何かおしゃれだと感じたんです(笑)。いろんなお店でパーツを集めて、それを組み合わせておしゃれしているんじゃないかなって。工夫している様がかわいらしく思えて、もしかしたらいい街かもねと思えたんです。松本市と長野市で検討していたんですが、長野市だな、と。正解でしたよ。
残念なのはおいしいハンバーガーに出会えてないことくらいです。本当、長野市、いいですよね。

─長野で活動することのデメリットはないですか?

何もないですね。大成功です。去年の12月に引っ越してきたんですけど、ちゃんと仕事するようになったんですよ(笑)。
東京には“東京時間”みたいなものがあって、常にドキドキしていたんです。何か見なきゃ、何かやらなきゃみたいな、分刻みのような感覚があって。明け方まで起きていて、寝て起きたら昼過ぎという、すごく効率の悪い生活をしていました。
長野には“長野時間”がありますよね。コピーライターの秋山晶さんは午前中しかものを書かないと読んだことがあるんです。午後は犬と遊んだりして過ごして、夜にもう一度書いたものを見直して一日の仕事は終わり。そう書いてあって、なんかいいな、と。そういうことをやろうと思う余裕ができましたね。

─今の、一日のライフスタイルはどんな感じですか?

8時半頃起きてすぐに仕事します。夜は2時、3時ですかね。あ、絶対昼寝をします。昼寝の時間をとりたいから早く起きる(笑)。
仕事は午前中にすべて終わらせるのが理想で、午後はjoggaで何か表現しようという気持ちがあるので、自分の時間にあてたいと思っています。

─情報はどこで収集していますか?

本は読みますね。何でも読みます。ひとつのジャンルや作家に特化してしまうと、他のところに宝があるような気がしちゃって。
あとはネットと図書館ですね。最近良く見ているのは企業のプレスリリースです。見ていると流行っているものや流行らそうとしているものがぼんやり見える。おすすめです。

─最後に、将来の夢を教えてください。

もっと書きたいですね。今もそこそこの分量のライティングをさせていただいているなと思うんですが、今まで書くって何だろうなんて考えたことなくて。勢いで書いたものが面白いと言われたりすることもあるんですが、そういうことじゃないんじゃないかなと最近思うようになりました。文章の構成力だったり、編集力だったりという、いろんな要素だと思うんですよね。どの力を強めるとどういう文章になるのかとか…ちゃんと向き合いたいなと。
勢いがある文章が好きなんですけど、勢いだけで書いているようにみせて実はものすごく緻密なプロットの上に成り立っている、みたいなことにしたいです。そのためにはちゃんと向き合わないとダメかなと思っています。
あと、パクられたいです。文章とか、映像のやり方とか。パクられてるなとほくそ笑む(笑)。お手本とか見本ってモンじゃないですけど、自分のものを面白いと思って、また別の形にしてもらうってすごくいいなと思っていて。パクリって言ってしまうと下品ですけど、自分の書いた文章を元にしてこういうことをやっているという人がいると思うとうれしくなるかもしれないですね。

─ありがとうございました。

jogga

Profile

長峯 亘[Wataru Nagamine]
Writer
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jogga*創意工夫制作チーム・ジョッガ*

1975年長野県松本市生まれ。スポーツ専門放送局を経て、2008年に独立。クリエイティヴチーム・jogga(ジョッガ)主宰。映像・文筆・イラストなどさまざまな手法で創作活動を行う。
高橋酒造『shiritori-ring』(第7回東京インタラクティブ・アワード銅賞)/日本マクドナルド『ほぼ週刊クォーターパウンダーニュース』/ソニーマーケティング『BLUE STADIUM』 など企業サイトでのライティング、プランニングのほか、総合格闘技『戦極』の映像制作、アニメ『JIDOU SPORTS』の脚本など幅広く暗躍中。

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