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Interview

定期的に更新するインタビューのページです。Webクリエイターだけでなく、
さまざまなジャンルの方々のインタビューを掲載していく予定です。


25 トヨシマヒトシ

2010.04.30 [ Creative Director ]

トヨシマヒトシ

世界中で開催されているプレゼンイベント『PechaKucha Night』の長野版『ぺちゃくちゃないと NAGANO』を主催している長野クリエイターズネットワークのトヨシマヒトシ氏。12回目となる5月のイベントを前に、ぺちゃくちゃないとの魅力についてお話を伺いました。

インタビュアー・写真/ハラヒロシ、瀧内貫 編集/志村純子
協力/D&DEPARTMENT PROJECT NAGANO by COTO

─5月15日(土)に12回目の『ぺちゃくちゃないと NAGANO』が開催されるわけですが、まず『ぺちゃくちゃないと』について教えてください。

簡単にいうと、クリエイターのプレゼン大会です。一般的な講演会だと先生がステージの上に立っていて、観客は下に座って離れた位置でありがたくお話を拝聴するというイメージですよね。ぺちゃくちゃないとは全然そうではなくて、観客席にいる人がいきなり前に出てプレゼンして、終わったらまた観客席に戻ってビール片手に周りの人と話をする。プレゼンターとお客さまの立場が一緒なんです。プレゼンが終わった後に「さっきのプレゼンおもしろかったですね」とか、プレゼンターと気軽にコミュニケーションをとれるところが、ほかの講演会との大きな違いじゃないかと思います。
一番特徴的なところは"20×20"(20枚のスライドを使って、1枚当たり20秒。合計400秒)でプレゼンするというフォーマットですね。これは東京のクライン・ダイサム・アーキテクツという建築事務所が考え出したフォーマットです。現在世界中約300箇所で、同じフォーマットでぺちゃくちゃないとが開催されています。あとは、非営利活動というところですね。営利目的での開催は禁止というきまりになっています。プレゼンターからお金をとってはいけないし、逆にお金を払ってもいけません。どんなに偉い人でも、どんなに有名な人でも同じです。スタッフも自腹でチケットを買って参加しています。出た利益は会場代や遠方からゲストを呼ぶ際の交通費などにあてています。

─トヨシマさんがぺちゃくちゃないとと出会ったきっかけを教えてください。

出身は福岡県で、就職で長野にきまして、某メーカーで工業デザイナーを10年ほどしていました。その後にグラフィックデザインのチームに移って宣伝販促のクリエイティブディレクターになり、その関係でいろいろなイベントの現場を見に行っていたら、六本木でぺちゃくちゃないとに出会ったんです。もう5~6年前ですね。ものすごく衝撃を受けて、これは面白いなと思いました。

─「長野でやろう!」と思ったきっかけは?

製品の宣伝販促ツールを作るにあたって、勤め先の会社では東京の大手の広告代理店に丸投げというケースが多いんです。それが嫌で、どうせなら長野県のローカルのクリエイターさんに手伝ってもらって仕事を回したくて、クリエイターを探していました。長野県の人って、奥ゆかしいじゃないですか。才能や実力があってもなかなか表に出てこない。どうにかしてそういう人を表に引っ張り出したいなと思っていたんです。どうしたらいいかとずっと考えていたんですが、そんなときに東京でぺちゃくちゃないとを見て「これだな、長野でやろう」と決めました。それからぺちゃくちゃないとに通って何回も見てクライン・ダイサム・アーキテクツの方々にそのスピリットをたたきこまれて、機が熟した2007年、長野で始めました。

─当時はすでに国内でもいろいろな都市で開催されていたんですか?

まだ東京だけでした。東京からスタートして、当時、世界ではすでに70か所くらいで行われていたのに、日本では他の県には広がらなくて、 主催しているクライン・ダイサム・アーキテクツの方々も「なぜだろう?悲しいよね」とおっしゃっていたので「じゃぁ長野でやります!」と。東京以外だと、長野が初めてです。

─世界中で行われているぺちゃくちゃないとですが、どんな風にスタートしたのでしょうか?

クライン・ダイサム・アーキテクツのお二人(アストリッド・クライン&マーク・ダイサム)は、日本に来て伊東豊雄さんの事務所に入って、そこでしばらく仕事をしてから独立しました。そのときに、倉庫を借りてオフィスにしたそうです。その倉庫のスペースでやっていたプレゼン大会から20×20というフォーマットが生まれて、その後にスーパーデラックスというイベントスペースの運営に関わるようになり、そこで毎月定期的に開催するようになったと聞いています。

─現在は日本の他の地域でも開催されていますか? 他の地域の運営スタッフとの交流はあるのでしょうか?

国内では長野のほかに、東京、名古屋、浜松、西宮、盛岡、岡山で開催しています。交流という意味では、名古屋とは仲がいいです。名古屋で始めるにあたってどんな風にやっているか教えてほしいというメールがきて、長野でぺちゃくちゃを経験してもらったし、我々も1回目の名古屋のぺちゃくちゃにプレゼンターとして参加しました。

─ぺちゃくちゃないとといえば20×20ですが、その魅力とは?

最近、動画編集が手軽にできるようになってきて、プレゼンでも動画の利用が増えてきました。そんな動画主体の時代にあっても、ぺちゃくちゃないとは未だに静止画にこだわっているというフォーマットが、個人的には面白いなと思っています。動いていると見逃すことも、止まっているから気付くことも結構あって。止めて物を見る面白さが特徴だと思います。
20×20って非常に絶妙な枚数と時間で、これより多いと間延びしちゃうし、少ないと物足りない。そのバランスがとれているのが20×20だと思うんですよね。そこを見つけ出したクラインダイサムの二人はすごいですよね。ただのプレゼンなんだけれどもリズム感がある。普通のプレゼンと違って飽きない程度に進むので。 また、1イベントにプレゼンターが10~15人、次々といろんなジャンルの方が登場する面白さですね。とにかくいろんな人が入れ代わり立ち代わり出てくる。写真家さんがいれば、イラストレーターがいて、建築家がいれば、婚活プレゼンする人がいて(笑)。何が出てくるかわからない面白さがあります。プレゼンターの出演順は公開しないので、次に誰が出てくるかわからない、意表を突いた面白さというのがあります。
レベルもいろいろです。プロがいるかと思えばアマチュアも学生もいて、いろいろいるから面白いです。特に学生のプレゼンは学生ならではの良さがあります。プロが忘れちゃった純粋さや、若さや勢いが見れると、結構感動するんですよね。なるべく毎回、学生は入れたいなと思っています。

─では、逆に、ぺちゃくちゃないとの難しい点は?

プレゼンター探しが大変ですね。長野県の人は奥ゆかしいから(笑)。毎回、プレゼンターがなかなか集まらなくて苦労しています。
あんまりハードルを上げてしまうとなかなか出てこないだろうと思っていて、基本はクリエイターのプレゼン大会ですけど、例えば毎朝、旦那や子供のためにお弁当を作っているお母さんは弁当クリエイターなわけですよ。そんな方でもOK。それくらいの気持ちです。自分は何かつくりだしていると思えば、あなたはクリエイターです。そういうつもりで気軽に応募してほしいですね。もうひとつは集客です。営利目的ではないですが、もっと多くの方に見てほしいです。今は平均70~100人ですが、100人の壁を超えたいですね。

─長野で始めてみて、感じていることは?

意外と長野県、おもしろい人いるじゃん!と思いましたね。当時はそんなに面白いプレゼンターはいないんじゃないかと、正直思っていたんですけど、意外と強烈な人がポコポコっと出てくるので。「いるならもっと最初から出てこいよ」って気がしますけどね。こんなに面白いんだったら黙ってないでもっと表に出てくるとか、東京とか世界に向けて自分から発信しちゃうとか、やればいいのに。こもっているからもったいないなぁって、なおさら思います。

─トヨシマさん自身は、ぺちゃくちゃないとに対してどんな思いがありますか?

ぺちゃくちゃないとに出ると、ぺちゃくちゃないとグローバルウェブサイト長野のページに、プレゼンターの名前とURLを掲載します。それがきっかけでサイトに海外からアクセスがある、メールでコンタクトがある、というケースが結構あるんです。だから、ちょっと大きい言い方をすると、ぺちゃくちゃないとは"世界への扉"なんです。
ぺちゃくちゃないとをきっかけに、長野にこもってないで東京を意識するとか、更に東京を飛び越して世界を意識してほしい。世界レベルでクリエーションしないと、レベルが上がっていかないと思うんです。僕は、仕事で海外向けの宣伝販促物の制作を行っているんですが、長野県にも、世界レベルの人がいっぱいいるんですよ。でも、それをわかっていないというか、意識していない人が多い。もったいないなと思います。ぺちゃくちゃないとをきっかけに世界を意識してほしいです。

─ぺちゃくちゃないとは効果があったなと思うことはありますか?

我々は「ぺちゃくちゃないとは出会い系プレゼン大会」だと言っています。「スーパーハイブリッド合コン」とも(笑)。いろんな出会いがあります。ぺちゃくちゃないと関係で出会って結婚した人が、数組いますね。これも一つの効果かな。(笑)
ひとりでこもって仕事しているより、いろいろな人と出会った方が、発想も広がるし、何かあったときに助けてもらえるし、コラボレーションして新しいことができたりする。出会いを提供するというのもぺちゃくちゃないとの大きな目的です。
とにかく人間関係を広げてほしいです。実際、仕事につながっているケースもけっこうあります。

─ぺちゃくちゃないと NAGANOでは、長野、松本、諏訪と、三つの地域で開催していますが、開催地の個性ってあるものでしょうか?

地域性も無くはないですがそれよりも性別ですかね。長野県のクリエイターは女性の方が元気な印象があります。イキイキしてる。積極的に出てくるのは女性ですね。男はイマイチ...奥ゆかしい(笑)。

─ぺちゃくちゃないとの運営はおひとりで行っているのですか?

長野クリエイターズネットワークという謎のグループが運営しています(笑)。mixiのコミュニティで集まって立ち上げたグループです。mixiコミュでは100人くらい。実際に活動しているのは10人くらいです。ぺちゃくちゃないと以外では、名刺代わりの年賀状交換会とかカラオケ大会、お絵描き大会、鉄道の旅とかいろいろ活動しています。mixiで覗いてみてください。

─イベントの告知はどのように行っていますか?

mixiとぺちゃくちゃ長野のWebサイト、ぺちゃくちゃグローバルWebサイトで告知しています。あとは人づて。口コミでどこまでいけるかやってみたいというのはありますね。新聞やテレビというメディアに頼って人を集めても、バッと集まるかも知れないですがあまり定着しない。希薄なつながりのような気がします。伝達するメディアで一番強力なのは人づてだと思うので、メディアをできるだけ使わずにどこまでいけるか試したいという思いがありますね。

─今後の展望は?

年間4回、地道に長く活動を続けたいです。
それから、世界に出せるようなクリエイターを発掘して、世界に送り出していきたいです。「これは!」と思った人は、東京のぺちゃくちゃないとにブッキングすることもあります。東京は一番発信力が強いので。実際、あるメディアアーティストさんは、グローバルサイトに掲載されたことがきっかけで、作品を見てくれたオーストラリアの人から「いいね!」ってメールがきました。ある画家さんは、東京のぺちゃくちゃないとに出場したところかなり盛り上がってイベントコラボの誘いもあったようです。世界を意識しながら、自分の世界を広げて、レベルアップを、クオリティをアップしてほしいですね。
それから、ぜひ東京のぺちゃくちゃないとも見てほしいです。東京は毎回300~400人集まります。半分以上外国人だし、半分以上は英語のプレゼンです。たまにすごい大物が来ていることもあります。たった1000円(ワンドリンク付)で世界レベルのクリエイターのプレゼンがいっぱい見れて、すごく刺激になりますよ。

─5月15日(土)開催のぺちゃくちゃないと NAGANO Vol.12 は、すでにプレゼンターが決まっていますね。今回はどんなぺちゃくちゃないとになりそうですか?

今回は、映像デザインやウェブデザイン、グラフィックデザインのほかブランドデザイン、インタラクションデザインなどで活躍中のトップランナー菱川勢一さんがスペシャルゲストとして来場します。ゲストは今回で2回目です。プレゼンテーションだけでなく、簡単なトークショーも行ないます。業界トップランナーの話を聞く機会というだけでなく、一緒に飲みながら話すことができますし(詳細はこちら)。そんな機会が1000円(ワンドリンク付)で手に入るわけですから、貴重ですよ。 一般のプレゼンターの方々も、負けず劣らずの個性的な面々で、期待できます。

─今回、初めてぺちゃくちゃないとの存在を知った!という人いると思うのですが。

飲み会の延長ぐらいの気持ちで気軽に来てほしいです。楽しく過ごすのが基本だと思っているので、堅苦しいとか、難しいとか、そんなことはないです。ぺちゃくちゃないとは世界への扉です。積極的に利用してください。

─ありがとうございました。



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Profile

トヨシマヒトシ[Hitoshi Tosyoshima]
Creative Director

1966年、福岡県生まれ。九州芸術工科大学(現九州大学芸術工学部)を卒業後、プロダクトデザイナーとして長野県内の某メーカーに就職。現在はグラフィック系デザイン全般のクリエイティブディレクター。
1997年より、仲間と共にクリエイターのプレゼン大会「ぺちゃくちゃないとNAGANO」を県内で定期的に開催。

Link

Information

ぺちゃくちゃないと NAGANO Vol.12
●開催日 / 2010.5.15(SAT)
●会場 / D&DEPARTMENT PROJECT NAGANO by COTO
●開場 / 17:30
イベントスタート / 18:00
イベント終了 / 21:00
●入場料 1,000円(1ドリンク付き)
●スペシャルゲスト / 菱川勢一

※詳細はオフィシャルサイトにて
PechaKuchaNight NAGANO